フタリの事情。
……うっ。

そんな純粋な視線で見るなよぉ。


あのな、りぃ。

確かに俺、おばさんに頼まれて受験期間、りぃの家庭教師やってたけど。


引き受けた一番の理由は、『俺がりぃの傍にいたかったから』。

下心の方が、良心よりも何倍も大きかったんだからな?




「俺はなんにもしてないって。
お前が頑張ったから受かったんだよ。
数学の公式、寝言で言うくらいだったしな」


「あ、もぅー……
それは言わない約束でしょ!!」


「はは」


「……約束、って言えば。
ね、覚えてる?
受験終わったら、ぱーっと遊ぼうって言ってたの」



そういや、そんなことも言ったっけ。

毎日毎日、学校と家との往復で勉強ばっかの生活に疲れてたりぃを、なんとか元気付けたくて。


『もう少しだから、頑張れよ。
受験終わったらさ、りぃの行きたいトコ、連れてってやるから。
んで、ぱーっと遊ぼう?』




「それ、まだ有効だよね?
今度の日曜日とか、どうかな?」


って、りぃ?

ちょ、ちょお待って?

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