フタリの事情。
俺をパッと見上げた茶色い瞳。

今は驚いたように、まん丸に見開かれてる。




――瀬名円(せな まどか)。

通称「セナちゃん」、または「えんちゃん」。


俺が所属してるサッカー部のマネージャーで、いっこ下。

例の、春のマネ争いで、2人募集っていう狭い枠を勝ち残った女の子の片方!



何でも一生懸命で、いい子でさ。

中学の時もサッカー部のマネしてたらしくて、そのへんの知識もあるし、実は結構大変なマネの仕事のこともよく分かってるし、もちろん慣れてる。


だからこそ、部長の太鼓判で、セナちゃんの入部はすぐ決定したんだけど。




「セナちゃん、だいじょぶ?
俺思いっきりぶつかったっしょ。
痛いトコとかない?」


「いえっ、平気です。
あたしも前方不注意でしたからっ……」



手を差し伸べて、とりあえずセナちゃんを立たした俺。


見る分には、ケガもなさそう……だよな。


良かった~

女の子に傷なんてつけらんないし。


何より、セナちゃん、サッカー部でもマスコット的存在ですげー人気があるから。

ケガなんかさせたら、俺が他の部員にどんな目にあわされるか……

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