フタリの事情。
今日一日だけじゃなくてさ。

この幸せ気分は、きっと今月ずっと続くんじゃないかってくらいに嬉しいって言ったら、大げさ?



「俺も、ずっと言えなくてさ。
……確かめるのは勇気がいるし」


「う、ん……」


いつもならりぃには絶対言えない、こんな内心事情。

今は不思議なほど、素直に言葉にできて。



「でも、そんな風に思ってくれてたんだって知って。
嬉しい反面、実は安心もしてる」


「安心?」


「やっぱ、俺も結構迷ったからさ」


「わたしも……
きっと、今日が雨じゃなかったら、この傘を使ってなかったら……
ずっと、言えなかったよ……」


「そっか」


「うん……」


「あぁー……
ホントよかった、ホント嬉しい」


呟いた俺に、りぃが「うん」なんて頷いて、ピンク色のほっぺたにえくぼを作って笑った。

ちなみに、ちょーカワイイっす。


「他にも色々種類あったんだけどさ。
その傘が一番りぃっぽいって思ったから。
りぃ、オレンジ好きだって知ってたし」

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