フタリの事情。
*寝顔サービス
――学校って、こんな近かったっけか。


雨で薄く曇った視界の端、見えてきた校舎にふと思った。

いつもは無駄に長く感じる通学路も、今日は短すぎるくらい。



あーあ、もっとりぃと話してたいのにな。

ゴールに着いたんじゃ、この時間も終わりだ。


正直、すげー物足りない。

でもまた“次の約束”があるから。




「じゃありぃ、ここでな。
部活の前に一度メールするな」


玄関で傘をたたみながら言うと、りぃは頷いた。

数分前まで傾いてた機嫌は、今はすっかり元通りで、


「うんっ、待ってるね?
今日も図書室にいるから」


その笑顔に、なんだよかわいーな、とかいちいち俺は思っちゃうわけで。


はぁ。

同じ学年だったら、教室まで一緒に行けたのになー……


「了解。
んじゃ終わったら、迎えにいくよ」


「部活頑張ってね、それじゃ。
あ――授業中、うたたねしちゃダメだよ?」


ちょ、何で知ってんだ!?

俺が睡魔にいつも勝てないこと!

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