フタリの事情。
「でもさ、冗談抜きで。
本当に告白した方がいいと思うよ」


突然神妙な顔つきになって、ワタルが続ける。


「今はまだ、なんて悠長なコト言ってる場合じゃないって。
横から他の男にかっさらわれるよ?」


「他の……男?」


「幼馴染ちゃん、入学以来、相当モテてると思うよ?
オレら2年にも告ったヤツがいるって聞いてるし」


「はっ?」


なんだよそれ!?


あいつが小さい時からモテてたのは知ってるよ?

一番近いトコロで見てきたわけだし。


だから俺はいつも気が気じゃなくて……


って、そんなことは今はどうでもよくて!!


「俺聞いてない!
あいつ、そんなコト俺には一言も、」


「テツタだって、他の女子に告白されてること、その子に報告しないでしょー?
それと一緒だよ」



そ、そっか。

だよな……


わざわざ、ただの幼馴染に告られた事実を報告する義務なんて、あるわけもない。

俺のは変な誤解とかされたくなくて、意図的に言ってないんだけど。

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