Loveless doll
中学卒業~高校一年
初恋
『俺と、付き合ってくれる?』
慌てて出た電話の相手である、クラスメートの優人の第一声がこれだった。
私はしばらく黙ったまま頭の中で整理をする。
…なぜ??
今までのことを振り返るため、頭をフル回転させる。
私は、男っぽい性格のせいか、女子からの人気が高くて、男子と連む事が多かったため恋愛経験がまったくと言っていいほど無かった。
だけど、そんな私も好きな人がいないわけではない。
私の初恋は優人だ。
だけど、優人は私の友達である香織の彼氏で、付き合うことなんて全然考えることが出来なかった。
『俺、香織と別れたんだ。…覚えてるか?学校祭の時、別れたら俺と付き合ってくれるって言ってたの…』
「え??」
確かに、言った覚えがあった。
中学三年の10月、学校祭のクラスの出し物の手伝いが優人と一緒でたまたま2人になったことがあった。
その時、ふざけて優人が「俺、お前と付き合ったら楽しいかもって思う時あるんだ。良かったら、香織と別れたら付き合ってくれるか?」
そう、優人はいつもの可愛らしい笑顔で言った。
私は、今までそんなこと言われたこともなく、ましてや好きな人に言われたとなるとテンパらずにはいられなかった。
返答に困った私はアハハと笑いながらも冗談と受け止めて返事をしたが、内心体に熱いものが流れていく感じがしていた。