【短編 時間を越えて】
病室から見える青空は、まるであの日のような綺麗な色をしていた。

少し開いた窓から入る風はあの時車まで走ったときの匂いに似ていた。

「美樹…ですか?」

「そうですね。吉沢美樹さんです。
ずっと寝てたんで面識はないはずですけど…。」

「ですよね。ちょっとした勘違いです。
あ、資料、きちんと見ておきますね。」

その言葉を聞き、医師は病室を後にした。
< 25 / 28 >

この作品をシェア

pagetop