【短編 時間を越えて】
〜翌日〜

亨は研究所で支給されたバッグを肩に下げ、病棟の待合室に向かい長い廊下を歩いていた。

「あ、先生!」

亨は担当医を見つけ声を掛けた。

「吉沢さん。退院おめでとうございます。」

医師は軽く頭を下げた。

「これから吉沢さんには大変な時期が続くと思います。
けど、この時代も決して悪い時代じゃない。早く生活に慣れるといいですね。」

「はい。色々と有難うございました。」

「もうお迎えの方がいらしてましたよ。」

「はい。わかりました。」

「お大事に。」

亨は医師に挨拶を終え、指定された待合室に向かった。

< 26 / 28 >

この作品をシェア

pagetop