【短編 時間を越えて】
「ねぇねぇ、どう?」

美紀はその場でクルっと一回転してみせた。

「うん。いいんじゃない?似合ってるよ。」

少し素っ気ない亨の答えに美紀は眉間にシワを寄せた。

「なにそれ。こーゆー時に綺麗だよの一言も言えないワケ?」

亨は照れ臭そうに視線を逸らし、小さな声で囁いた。

「綺麗だよ…。」

「えっ?何? もっと大きな声で言わなきゃ聞こえない!」

「綺麗だよ!」

美紀はまんべんの笑みで答えた。

「ありがと。」
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