【短編 時間を越えて】
亨は席を立ち、最後の準備を始めた。

教会の係りの人に言われ、式で使う結婚指輪をバッグから取りだそうとした。

「あれ? 入ってないや。」

亨はバッグの中の荷物を出し探し始めた。

「あっ!」

「あった?」

美紀が不安そうに声を掛けた。

「車に置いてきた。 ちょっと取ってくるわ!」

そう言うと亨は控え室を飛び出し、車に走って向かった。

「もう。 しっかりしてよ。」

走っていく後ろ姿を見つめながら美紀が心配そうに見送った。
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