お家に帰ろう。
将人に、明と中村のことを聞かれてから、
なんとなく二人が気になるようになった哲司は、
部活の最中に、二人が話しているところを、何度も目撃するようになった。


二人の仲を疑っているせいか、
なんだか、とても楽しそうに映って見え…


そんな夏の部活帰りの夜道、
思い切って哲司は聞いてみることにした。


「なあ、明。」

「ん?」

「おまえ、中村先輩のことが好きなのか?」

「なんで?」

「なんか、やたらと一緒のとこ見かけっからさぁ。」

「そんなことないよ。」

「そんなことあるよ!マサ君だって言ってたし…」

「…なんて?」

「つか、心配してた!相手が3年だから。」

「何それ?ワケ分かんない。」

「で?どーなんだよ?」

「…テツ、…ありがとね!」

「え?…ちっ、違うって!そーゆーことじゃねーぞ!」

「分かった分かった!彼女と別れちゃったもんね!でも大丈夫!きっとまた、チャンスはくるから!」



結局、ハッキリしないまま、
3年生は部を引退して、受験だの卒業だのと忙しくなり、
二人が一緒に居るところなど、
見かけることはなくなった。


ただハッキリしたことは、
明の哲司への気持ちと、

将人が、必要以上に、
明を女性として意識しはじめたと言うことだった。

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