お家に帰ろう。

その日…（と言うか、ほぼ毎日だが）
遥の彼の吉岡翔太が、友達と街を出歩いていた時のこと。

ここら辺では見覚えある制服の、女子高生とスーツ姿の男が並んで歩いている様子を目にした、
吉岡の友達の一人の言葉がきっかけだった。


「見てみ、あれ。白昼堂々とよくやるよ。」


その方向に視線を移した吉岡は、思わず目を疑った。


「！…マジ？」

「分かってても、リアルに見ると引くよなぁ。」


４０代半ばとも思われる、その男が、
悪怯れる様子もなく、
高級ブランド店の立ち並ぶ街を、連れ歩く、その女子高生は間違いなく、明だった。


「あれって援交？」

「だろ？」

「つーか、オヤジもどーなんだアレ。もろバレじゃんなぁ。ちっとは考えろって。」

「てか、親父なんじゃね？」


彼女の父親を、写真でしか知らない翔太は断定できず、
父親であってほしいと思いで言ってみた。


「あー。堂々としてれば親子に見えるだろうって作戦？」

「うちさぁ、来年妹が高校なんだよ。どーするよ、そんなんなったら？」

「じゃなくても疑いの目で見ちゃうだろ？」

「勘弁だなぁソレ…キツイわ〜」


しばらく、無言になる吉岡だった。