お家に帰ろう。
質問返しをする明に、
新人教師が慌てたため、
養護教諭が代わって応じた。


「その質問に答えるにあたって、あなたに一つ聞いておきたいことがあるの。」

「はい。」

「あなた、彼氏は?」

「います。」

「その相手とは、きちんとしたお付き合いなのかしら?」

「私を大切に思ってくれているし、私も真剣です。」

「経験は?」

「…」

「先生、それはいいんじゃないでしょうか?!」

新人教師が止めに入ったが、

「つきあいはながいの?避妊はしてくれてる?」

養護教諭は続けた。


「はい。」

潔く答える明に、
言葉をなくす新人教師と、質問を続ける養護教諭。


「その人以外の関係は?」

「…ありました。」

「一度?」

「はい。」

「うん。先生が思うに、あなたは淫乱なんかじゃない。ただその言葉には、憎しみという感情が左右されやすいものなのよね。」

「そんな人とは思わなかったので。」

「いや、その人とは断定できないわよ。あなたと決まったわけでもないんだから。ただのイタズラだと思いたいけど…他に心当たりは?」

「ありません。」

「…はい。わかりました。」

< 109 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop