お家に帰ろう。
学校の名誉のためかもしれないが、
その先生の明に対する心遣いは、しっかりと伝わった。


校内の生徒は、勝手な詮索をして楽しむ者や、
同級ということで迷惑がる者。
ただのイタズラと、はじめから相手にしない者に、
心配してくれる友達と様々だ。


「だいたい、イニシャルってトコロが説得力にかけるよね。」

そう言って、慰めてくれる仲間がいることを嬉しく思った。
ただ、
明を陥れたいがためにと、書き込んだ者が、
友達だと思っている人だったとしたら…

考えるだけでゾッとする。

そんな願いから、どーしても、
ある人物を犯人にしたてあげてしまう明は、

そうすることで、気持ちが軽くなるのならばと、

それを深く追及することはしなかった。


最近、哲司との連絡もとっていないことで、
市川の様子も分からないことが、幸いだった。


そんなこんなで時が流れ、
周りも騒がなくなり、
明の中でも解決していた頃、

久しぶりに哲司から電話がかかってきた。


「S女の1年のS・Κって…まさかおまえ?」

「…よく見つけたねそれ。」

「女が持ってきた情報。」

「ウマくやってんだ?」

「それなりに。それより、大丈夫か?」

「あたしのことなのアレ?」

「違うと思ってたけど、とりあえず。」

「…久しぶりだよね!」
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