お家に帰ろう。
将人が高校3年の時のこと……

中学2年の明が、自分の知らない男と一緒に居るのを見た時、
無意識に身体が反応した。


何も考えず、二人のもとへと進む足。

そして、

遠くもなく、近付きすぎない二人の距離に、思わず焦って声をかけていた。

嫉妬心を通り過ぎて、
怒りにも似た感情が込み上げてくる将人。

これが、
明が高校生になるまでと、
必死に我慢してきた思いが爆発した瞬間だった。


それまでは………

自分がそうだったように、
明が高校生になった時、
きっと真実が告げられるものと思っていた将人は、

同情から愛情へと変化していった自分の気持ちを、
その時に、きちんと明に伝えようと心に決めていた。


そうもしてる間に、
明はどんどん女になっていく。


誰がそうさせるのか?


どうすることもできない自分が、もどかしくて仕方がない。


“どうして兄妹なんだ”


その事実が、血の繋がらない明への思いに拍車をかけるのだった。



それでも気持ちを押し殺し、
自然にしていられるよう、
彼女をつくり、
その上で明に愛情を注ぐ将人…

バレないよう、
最高の兄を演じつつ、
最高の男をアピールすることで、告白する日がきた時のための地盤を作っている段階だった。

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