お家に帰ろう。
その日がくることを、疑いもしなかった将人は、
いつになろうと、
じっくりと待つつもりでいた。


もしも、それまでに、
明にとって必要不可欠な存在が現われたとしたら…

その時は、
見守ってやれる自信もあった。


先に生まれている分、それなりに経験していることについては、
アドバイスだって手助けだってするつもりだし、
それだって、
ひとつの愛の形だと考えてもいた。


それなのに……

他の男が明の隣にいるのを目の当たりにした途端、

今までしてきたことの無意味さと

信じていた分、裏切られたという気持ちが、
将人を突き動かし、
互いにの気持ちを知る、良いきっかけとなった……


「明…頼むから俺以外の男のことを見るなよ。心配なんだ!お前が俺の前から消えていくんじゃないかって…そしたら俺…」


そんな将人の胸元に、
明はそっと頭を寄せ言った。


「言ったでしょ。あたしはずっとそばにいるって…」

「…うん。」

「まーくんも!あたし以外の女は見ないで!」

「見てないよ!」

「じゃあ、なんで彼女つくんのよ!?」

「あれは、向こうから言われて…悪い気しなかったから…」

「やらしい。」

「俺も、お年頃なもんで…それなりに…」

「…」

「…」

「もう、他の女とは仲良くしないで。」

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