お家に帰ろう。
次の日の哲司は、
将人から、あんなことを言われたせいか、
彼女に対して、妙に気を遣ってしまうのだった。

そしてそれを、
彼女本人が、不自然に感じていることなど、全く気づきもせずに。



そんな一日を過ごし、将人に文句でも言っておこうと、電話をかける哲司だったが…


「マサくんが変なこと言うから、なんか今日1日疲れたよ。」

「なんでだよ!そんなの自分に疾しい気持ちがあるからじゃねーの?」

「繊細と言ってくれ!」

「何だそれ。」

「体、だいぶ良いみたいだね。」

「全然オッケー。」

「今は家?」

「ああ、マンション。」

「不自由は?」

「ない。友達が来てくれるから。」

「彼女?」

「ちげーよ。」

「なーんだ。じゃあ、俺の出番は無しってことだね。」

「え、あぁ…もう大丈夫だよ。だから言ったじゃん、たいしたことないんだって!」

「超人だなぁ。」

「ありがとなホント!」

「いやー、いつも世話になってるから、たまにはね!でも、彼女の方がいいよね、やっぱ!」

「ちげーって!今日大学休んだから、講義の」

「はいはい。じゃ!」


この時すでに、将人のマンションの最寄り駅に来ていることは言えなかった。


そして、引き返すために、渋々と反対側のホームへと階段を渡るのだった。

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