お家に帰ろう。
「ただいま…」


長男の将人(まさと)が帰宅。


大学2年生になったばかりの将人には、
来月おとずれる二十歳の誕生日を機に、
念願の一人暮らしが待っている。


そのための部屋の片付けにと、
早めに戻って玄関の扉を開けた時…

「ちーす!」


そこには、ちょうど靴を履き終えた
妹の同級生で幼なじみの
哲司(てつし)の姿があった。


「おう!あれ?帰んの?」

「うん。あいつ寝ちゃったから。」

「…ったく、しょーがねーなぁ!」

「慣れない電車通学に、お疲れ気味なんじゃん?」

「ふっ。」

「じゃ。」

「じゃな。」



一度リビングに向かい、冷蔵庫から飲み物を調達してから部屋へと向かう将人は、
階段を上がってすぐにある部屋のドアを開けた。


まったくもって、
妹のことなど無関心なのか、
意識して、感心が無いフリをしているのか…。

普通の兄妹なんて、こんなものなのだろうか?

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