お家に帰ろう。
シビレを切らし電話をしてみると…

「はい。」

「え?あ、あの?」


電話に出た声は、聞いたことない、男の声だった。


「あれ?この電話は…」

「ついさっき、この電話を拾ってお預かりしている者です。」

「あー。そーっすか!えっと、じゃあ、取りに行きます。今、何処ですか?」

「駅の側です。」

「じゃあ、近くまで行ったら、また電話します。」

「良かった。ありがたい。」


上條家に電話をかけづらい哲司は、とりあえずバイクで駅へと向かった。


駅前のファーストフード店の前にバイクを止め、電話を取り出す哲司は不在マークに気が付いた。


(あ、明だな?携帯落としたことにやっと気づいたか。)


が、哲司はリダイヤルボタンを押し、

「あーども、今着きました。バイクに股がってます。分かりますかね?」

と、電話を片手に周りを見渡す。


「あー、はい。今そちらに行きますよ。」


そう言って、相手は電話を切った。


そして、いっそうキョロキョロしだす哲司。


知ってる顔を見かけても不思議ではない、地元の駅前だ。


すると、どこかで見た覚えのある顔が、だんだんと近付いてきて…哲司の前で立ち止まった。


「あれ?」

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