お家に帰ろう。
ピンポ―ン――


携帯電話を受け渡された哲司が、上條家のチャイムを押した。


「あ、多分テツだ。」


確かめもせずに、玄関へと向かっていく明を、

「なんだ?」

家族は目で追った。


ドアを開けると、すり抜けるように外へ出て素早くドアを閉める明。


「ほらよ。」

「ありがと。」


一瞬、沈黙があり、

「あのさ!」

「おまえ」

同時に話し出す二人。


「あ、何?」

「いーよ。おまえから話せよ。」

「…このことはさぁ…」

「言わねーよ。つか、言えねーだろ。」

「ごめん。」

「俺には分かんねーけど…分からなくもないよ。」

「なにそれ?」

「でもさ、言えないことは、しない方が良いと思う。」

「…分かってる。」

「でも!…その時は俺に言え!」

「!」

「この前も、会ってたんだろ?」

「うん。」

「焦るからさぁ、前もって教えとけよなぁ。じゃあな。」

「あ、テツ!」

「んぁ?」

「…メールする。」

「…ん。」

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