お家に帰ろう。
将人が大学生になった年のこと、

高校時代の友達から、弟の家庭教師を頼まれ、ひき受けることになった。


「兄貴だって頭いいのに。」

「ダメ。あいつの偉そうな態度にムカついて喧嘩になっから。」

「教えてもらうんだから、少しくらい我慢しろよ。」

「我慢したくないから教えてもらわない。」

「あはは、弟ってこんなんか?」

「あれ?妹いるんだっけ?」

「ああ。君とタメと、もう一人が中三。」

「受験生か。かーいーの?」

「どーかな。」

「男は?」

「…いんじゃねーか?」

「なーんだ。」

「彼女いんだろ?聞いたぞ、何とかってモデルに似てるんだって?」

「あ、それ終わった。重くてね。」

「はは、高校生で重いってどんなだよ。」

「電話かけてくんだよね。」

「メール返さないからだろ?」

「どーでもいい。」

「つきあってんならそーゆーモンじゃないの?」

「こっちにもつきあいがあっからさぁ。つか、友達があんま居ないんだよ。だから何かってーと電話でさ、話だって、つまんないことばっか!」

「ふーん。」

「言われた時は顔見てオッケーしたけど…初めてとはねー。」

「!それ、ダメなの?」

「俺はね。」

「…当たるのって珍しくないの?」

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