お家に帰ろう。
こんな時期でも教室では、

来たるクリスマスを“束の間の休息”と言い訳にする者達が、パーティーの計画をたててたり、
また、
そこに合わせて発売されるゲームの詳細や、昨夜のドラマの内容など、
それぞれの話題で、それなりに賑やかなものだ。


内心では気になっていても、
せめてこの時間のうちは、受験のことから解放されたいと言うところだろうか…

皆が同じ状況だというのに、
自分だけ焦っているのが恥ずかしく思う者もいれば、
まだ、それほど深刻に考えてない者もいるのだろう。


明も気持ちを切り替えて、

「おはよ。」

友達の輪の中に入っていくと、
その話題は、ずっと先を見越したものだった。


バレンタインデーに告白するべきかどうか…

「なんか、余裕じゃん?」

「どうせ高校別々だから。」

「それもどーなの?ヤツはどこ狙い?共学?」

「あたしも都立だし。」

「それウマくいかないっしょ。」

「先のことは分からないけど、大事なのは今でしょ、やっぱ!」

「…今大事なのは受験でしょ?」

「そーなんだけどぉー。」

「ま、頑張る張り合いになるよね!」

「明は分かってくれると思った!」

「なんで?」

「だって、年上の彼のため女子校にしたんでしょ?」

「そーなのー!?」

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