お家に帰ろう。
「その相手が誰なのか、私共も存じ上げないのですが…」


もしも、明の恋愛について口出ししようものなら、すぐにも抗議するつもりでいた二人だったが、


「その、お相手の子をですね、」

「子供!…ですか?」

「はい。」


子持ちの相手とつきあっているのだとでも言われると思った二人は、次の瞬間…


「身籠っております。」

「…え?」

「はい。」


すぐには理解ができないでいた。


「9週目に入るところだそうです。」

「え…それは明が…ですか?」

「はい。今日、奥様と一緒に病院へ。確かでございます。」


二人は顔を見合せ、声を詰まらせていた。


そんな二人に、

「彼女はきっと、お二人に悪いと思ったのでしょう。」

大貫が助言をすると、

「ちょ、ちょっと待ってください。」

と、敏男が……

「明は、なぜあなたの元へ?」


質問の答えに戸惑う大貫は、

「と、申しますと?」

差し障りの無いように質問を返した。


「金銭面ですか?」

「…いいえ。」

「明はどうしたいと?」

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