お家に帰ろう。
「…彼女は、出産を望んでおります。」


その言葉に、敏男は立ち上がり、

「そんな馬鹿な!あの子はまだ、17歳なんだぞ!」

さっきまでの意志とは反対の言葉を、大貫に向かって怒鳴り付けていた。


順序の違うことは、自分にも覚えがあるため、強くは言えない敏男だが、

「だいたい、何処の馬の骨かも分からない男との子なぞ…そんなこと…」

今日まで育ててきた親の気持ちとしては、二つ返事とはいかなかったのだ。


「でも、あなたは医者です。中絶など、娘にすすめられませんよね?」

「それは!…」

「相手の方とは、相思相愛の仲だと聞いてます。」

「無責任なことを言うな!」

「!」

「あんたは、自分が成し遂げれなかった罪を、今、償おうとしているだけじゃないのか!?しょせん、自分が育てたワケじゃないから、愛情だってあったもんじゃないんだろ?!きれいごとじゃ済まされないんだぞ!!」

「…分かりました。残念です。…こうなることが見えていたから、明は私の元へ来たんですね。」

「あんた!いったい何様のつもりだーっ!!」

「あなたは決して認めない!」

「当たり前だ!」

「でも、明は本気です!!」

「まだ子供だ!」

「何故です!何故信じてあげられないんですか?!」

「!」

「それならば、こちらにも考えがあります!訴訟を起こし、強引にも明の籍を奪ったって良いんですよ!そうすれば明だって!」

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