お家に帰ろう。
「じゃあ…」

「そんな負担を明にかけるつもりはありません!」

「え!」

「しかし、どんな形であっても、私なりに、あの子の親でありたい。父親なんですから!」

「それは!」

「もちろん、あの子の希望となれば、後継者として受け入れる態勢を整えることもできます!」

「…」

「相手にもです。…ただし、中途半端では困ります。養っていけるだけの器量がないと…きちんとした学歴も必要とされる世の中ですからね。」

「…やはり、相手を知ってるんですね?」

「まだ、学生だそうです。彼女本人から聞くべきでしょう!いずれにしても一度、揃って話し合いが必要でしょうから。」

「…」

「上條さん!…私は、娘が選んだ相手を信じております。」

「…私は…殴ってやりたいですよ。」

「…なるほど。そうでしょうね…私なんかが横から出てきて偉そうに…申し訳ありませんでした。」

「…」


すると大貫は、ぬくっと立ち上がり、

「お願いします!協力させてください!」

もう一度、深々と頭を下げるのだった。


「やめてください、大貫さん!」


立ち上がった弥生の目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。

そして、

「あの頃のままの大貫さんで…良かったです。」

一言を残し、部屋へと姿を消すのだった。
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