お家に帰ろう。
こうして、
市川慎吾とのメールのやりとりが始まった。


メールは、いつも市川の方から送られてくる。


内容は、その日の報告だった。


部活のことや、放課後、カラオケに行った時のこと…
哲司のことも書いてあったりする。


すでに、市川から告白されている明ではあったが、

はっきりと言われた訳ではないし、
そんなニュアンスの文章も届かない。


だから明も、社交辞令的な返信はするものの、
まともな返事はできないでいる。


(ってことは、今は、メル友なのかな?)


もし今、返事を要求されたとしても、
何て書いたら良いのかが分からない明は、

(って言うか、あん時は成り行きで赤ったけど、実は、そーでもなかった〜みたいな?…あたし…あれ!気になってる…?)


慌ててケータイをとり、
今までのメールの内容を読み返してみた。


部活の話題から、バスケは好きかと質問され、
観るのは好きだと返信。

試合があると知らされ、
頑張って!と励ましている。


カラオケの話題で、良く唄う曲を聞かれて、
主に聞き役だと返信。

この時は、好きなアーティスト名も答えていた。


哲司の話の時は、
呆れ顔の絵文字を…。


お互いに、それほど興味があるようには思えない、
色気も欲も、全く感じられない内容だった。

< 30 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop