お家に帰ろう。
母親が、ご飯をよそいながら目配せをしてみせたのは、

明るいの“明”で“さやか”と読ませる、
その名の通りカラッとした性格の
女子高生2週間目の末っ娘にだった。


ペロッと舌を出し、
とっとと食べはじめて、しばらくしてから、

予想通りの展開となった。


「なんで〜!どーしてこんな縫い目ぇ?もーやだ…」

「ほらほら。エネルギー補給に食べたらどう?」


そんな母親に向かって、

「私はお母さんに似たのかなぁ?お父さん似なら、もっと器用なはずだもん。」

などと言いだす遥。


すると母は、口の中からおかずが出ないように、
手で隠しながら笑ってみせた。


「じゃあ、おまえにこんなメシが作れんのかよ?」

そこに将人が口を挟む。

「その捻くれた性格なんとかしろ。男できねーぞ。」

「ふん、何よマザコン。」

「はあ?!」

「やめなさいよ。」

「どこかに居るって…はーちゃんみたいな人にピッタリな男!クラスに居たもんね…女子の目ばっか気にしてる奴ぅ。」

「私はね、身近な奴で済ませてる、明とは違うの!」

「は?何それ?」

「テツのことに決まってんじゃん。」

「決まってんじゃん?」

「なによ今更。」

「免疫無いよか、いいんじゃね?なぁ、明。」

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