お家に帰ろう。
頼んでもいないに、
アルバムを持って隣に座る遥は、哲司の写ってる写真のページをパラパラと捲って見せ始めた。


「これでしょ。で、これ。」


あまり興味のない吉岡は、
適当に、それを見ているフリをしていた。

が、

明と哲司と言うより、
そのそばに写る、もう一人の男に気がつく。


「これ誰?」

「あー、お兄ちゃん。えっとね…これがおっきく写ってるかな。」


吉岡はまだ、兄の将人に会っていなかったので知らなかった。


少し顔を近づけ、しばらく見つめたのち、ひと言。

「お兄ちゃん?」

「まだ紹介してないよね。最近、夜には来るんだけど。」

「え?従兄のお兄ちゃん?」

「?お兄ちゃんだってば!一人暮らししてるから、ここには住んでないんだけど、夕飯時には」

「おまえん家って、もしかして複雑なの?」

「…?なに?」

「ちょっと待って…妹と仲が良いよね?」

「あー!もしかしてコレだった?!」

「うん。…この顔だった。」

「な〜んだ!明はね、ブラコンだから!」

「うっ…オエ。なんかキモい。」

「あたしは違うからね〜!!」

「血がつながってないとかじゃ…ないんだよな?」

「なにそれ、ウケる〜!」

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