お家に帰ろう。
昨夜、あれから二人に何があったのか………

慌ててマンションに戻った将人は、一目散にパソコンを開き、明からのメールに目を通した。

『まーくんの言った通りだった。
焦ってもろくなことにならないってホントだね。

私は、市川くんのことを利用してるだけだって分かったよ。

でもね、気持ちを隠してでも、うまくやっていくつもりだったんだよ。

そのうち、本気で好きになれるって思ってたから。

だけど、その相手は市川くんじゃなかったのかも。

すごく良い人なんだよ!

慎重で、気にし過ぎるところがイラってするけど、
優しくて、自分の意見を押しつけたりしないから、
そんな市川くんと一緒にいると、自分が凄く悪い女に思えてきちゃうんだよねー。

どうせ
「だからテツにしておけって言ったのに!」って
そう思ってるでしょ!?

それだけは勘弁してよね!

将来、私は
上條家と関係のない、
遠く離れたところで生きていくつもりなんだから!

そうそう、
北海道に“幸福駅”って駅があるんだって。

今は使われてない駅なんだけど、その近くに住んでる人達は、幸せそーで、いーよね!

私が幸せなら、まーくんも幸せになれる?』


そんな内容を目にして、たまらず明のケータイに電話をかけていた将人……


「…はい。」

「何言ってんだ?!ずっとそばにいるって言ってんじゃん。」

「…」

「おい。聞ーてるか?」


すると、電話はつながったまま、将人のパソコンに新着メールが届いた。

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