お家に帰ろう。
「でもね、わかったことが一つあるの!」

「なに?」

「市川くんとの時に……まーくんもあたし以外の人と同じことを…とかって考えちゃって、そんなの嫌だって思っ」

それ以上を言わせないように、
明の口をキスでふさぐ将人……


少しして、そっと唇を離し、

「そんなこと考えるなよ。」と、

優しく言うわりに、
その腕は、キツくギュッと抱きしめるのだった。


そして、

「俺だってヤダよ。ホントは、おまえとテツが仲イイのだってヤキモチ妬いてるときがあんだからな。」

恥を忍んでの告白をしてみせると

「…ぷっ」

ムードを壊す明は、

「笑うな!ここは感激するところだぞ!」

「だって、テツだよ?」

「つーか!……市川って奴のことハッキリさせないとなぁ。」

「…うん。」

「大丈夫か?」

「テツに間に入ってもらうよ。…(ちょっとだけ脅してみるか!)断れないはずだから、アイツ。」

「なんで?」

顔を覗き込む将人に、

「ちょっとね。」

と、軽く返して、再び掃除を始めた。


(こんなところで、あの時のキスが役立つことになるとは…あたしってヤな女?…弱みに付け込むようなことして、自分に跳ね返らないように気を付けないと!)


そんな会話の数時間後、将人の携帯電話へ、テツが家に来るとの連絡が入ったのだった。

< 69 / 278 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop