お家に帰ろう。
「ただいま。」


独りで帰ってきた明に、遥が言う。

「あれ、お兄ちゃんは?」

明は立ち止まり、

「ん?」

「一緒だったんでしょ?翔ちゃんが見かけたって言ってたよ。」

「!」

慌てて言葉を探した。

「どこで?」


嘘をつくにも、つじつまが合わなければ墓穴を掘ってしまうからだ。



「なにそれ!信じられない…ふつう、後つける?」

「私の妹だから心配だったんだって!優しいでしょ?!」

「はいはい。」

「お兄ちゃんって知ってビックリしてたよ。」

「相談にのった代わりに、部屋の掃除させられてたの!…彼女と別れたみたいだね。」

「…相談って?」

「え?ん、まぁ…ちょっと。」

「彼氏のこと?」

「…」

「自分の恋愛もうまくいかない奴に、恋の相談したって参考にならないでしょ!」

「あ、あれ?はーちゃんこそ今日は早いね。吉岡くんと会ってたんじゃないの?」

「うん。うちに来てたから!ホラ、今日はお父さん居る日だから、早めに帰ってったよ。」

「あ〜。」


話もそれたところで、明は部屋に行き、将人にメールを送った。


『また遥の男に見られてた……』

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