運命の恋
アランさん…
あなたはなんてすごい人。
望んではいけないと…思っていた。
ただ生きていてくださるだけでいいのだと、何度も自分に言い聞かせた。
しかし、アランとの出会いでどんどん変わっていくロアにセルマは余計な期待をしてしまっていたのだ。
そんなセルマにとって、ロアの笑顔は望みであると同時に、もう幻へと変わりかけていた。
もう…見ることはないのだろうと…
「アランさん…ありがとう…」
想像していたよりも、ずっと…ずっと美しいロアの笑顔。
この時が…この時を止めてほしい…
セルマはひとり、ロアの笑顔の元でそう祈ったのだった…