運命の恋
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アランがドレスを作り始めてから長いときがたった。
ロアの誕生日を祝うために作られたドレスも段々と形をなしてきており、作業をするアランにもだいぶ余裕が見られるようになってきていた。
「ふぅ…」
カタカタと動いていたミシンのペダルから足を離し大きく深呼吸をしたアランに、セルマが近づいてきた。
「大丈夫ですか?だいぶお疲れのようですけど」
アランは、最近店に帰ってからも寝る時間を削ってドレスを作っていたのだ。
「これくらい何でもないですよ。それに…ほら」
そういうとアランはドレスを手で広げてみせた。
ふわりと揺れる柔らかそうな生地。
「やっと納得のいく形になってきたんです。これなら自信をもってロア様に着ていただけますよ」
そう言って嬉しそうに微笑むアランに、セルマは胸がチクリと痛んだ。