運命の恋
――――――
「コホッ…」
「姫様…あまり窓のそばにいられてはお体に障ります」
夕食を食べ終えて部屋に戻ってきたロアは、いつものように窓辺に座り外を眺めていた。
「もう少しだけ…こうしていたいの」
今までは、この窓の外の世界なんて考えた事もなかった。
この窓から見える景色の中に自分がいることなんて想像もできなかった…
いや…しないようにしていたのかもしれない…
夜空に輝く美しい月。静けさの中にも、風が庭の木々を揺らす音が響いている。
「ねえ、セルマ…」
「はい?」
「外に…出たい」