運命の恋
食事を戻してきたセルマが部屋へ戻ってくると、ロアは変わらずベッドの中にいた。
「姫様…」
ゆっくりとベッドに近づき、そのすぐ隣に跪く。
「セルマ…?」
「はい?」
セルマの気配に気付いたのか、寝たままのロアが視線を向ける。
以前から白かった肌の色が、今は消えてしまうのではないかと思うくらいに真っ白だ。
そんなロアの姿があまりにも哀れで、セルマは溢れそうになる涙を必死で堪えながらロアの瞳を見つめた。
「アランに、あいたい…」
囁くように紡がれた言葉…
思わずセルマはロアの手を握りしめる。
そして…ロアには見えないようにその手の甲に額を寄せて…
静かに泣いた…