運命の恋


「彼の事はセルマに任せてはどうです?
あなたは、彼を信じているセルマを信じて力を貸してあげてください」



アルヴィンが顔を上げると、フェリシアが優しく微笑んでいた。



「ね?」

「そうだな…」



なぜセルマがあそこまであの男にこだわるのかはわからないが…



アルヴィンは立ち上がり再びフェリシアを抱きしめた…


―――――


「どこに行ったのかしら?」



アランを追って謁見の間を出たセルマは城の中を駆け回っていた。



どうしてこんなに必死になっているのか…



自分でもそれはわからなかったが、自分の中の何かが今アランと別れてはいけないと言っているようだった。



まだたった二日しか彼を見ていないが、アランのまとう優しい空気。



そして美しい銀色の髪と瞳を見ていると、何か感じるものがあった。
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