運命の恋


突然のアランの言葉に初めセルマは驚いたが、アランの瞳をじっと見つめゆっくりと話し始めた。



「あの、どうしても作っていただけないでしょうか?」



セルマの言葉にアランは少し困ったような表情を浮かべた。



「私にはあの姫君のドレスを作る事はできません。第一、あれでは採寸すらできない。
誰か他の方に……」

「姫様にドレスを作ってください!」



アランの言葉を遮るように発せられたセルマの声。



「お願いします…」



そう言って必死で自分に頭を下げるセルマにアランの胸がチクリと痛んだ。



しかし……



「なぜあなたはそんなにあの姫の為に必死になれるんです?」



アランの質問に、セルマは真っ直ぐな声で答えた。
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