運命の恋


「あなた…誰?」



塔の最上階にある部屋には鍵がしてあり中へ入る事はできなかったが、扉には窓がついており中を覗く事ができた。



ロアの声に、老婆はすでに見えないであろうその白く濁った目をロアに向けると、まるで譫言のように話し始めた。



「10年前に生まれた姫は予言の姫……」



老婆の言葉を、ロアはまばたきせずにじっと老婆を見つめながら聞いていた。



「予言の姫は…20歳の誕生日に………その生涯を閉じる…」



―――――



ロアは一目散に塔から出ると、自分の部屋のベッドに飛び乗り頭からすっぽりと毛布をかぶった。


(10年前って………)
< 6 / 158 >

この作品をシェア

pagetop