運命の恋
「今日ここにお前を呼んだのは正式にロアのドレスを依頼するためだ」
「ロア様の…?」
アランの問いかけに、アルヴィンはゆっくりと頷く。
「アラン…ロアのドレスを頼む」
そう言うとアルヴィンはアランに向かって頭を下げた。
「やめてください…そんな…」
アランは無礼とは知りつつも、アルヴィンに近付くと頭を上げさせた。
アランの美しい銀色の髪がふわりと揺れる。
「ロア姫様のドレス、喜んでお受けします」
「……ありがとう」
ふたりをずっと見つめていたフェリシアは、なぜセルマがアランにこだわるのか少しだけわかった気がした。
このアランという青年がもつ優しい雰囲気…
そこにセルマは惹かれたのかもしれない。
そしてロアもまた、この青年によって変わるかもしれない…
ひとり、フェリシアはそんな事を考えるのだった。