運命の恋


まだ僅かだが苦しそうに息をするロア…



そんなロアの頭を優しく撫でながらアランは小さな声で呟いた。



「安心して眠ってください…」



そう言いながら、アランはロアの手を握る手に力を込めた…



その時、ロアは初めて自分の手に感じる温もりに気がついた。




力強く握るその手が、まるで自分に大丈夫だと言っているようだった。



次第に規則正しい寝息をたて始めるロアを見つめながら、アランはじっと考えていた。



ロアの体を襲った突然の発作…



アランの胸がざわめいた。



ロア様……あなたは…



その日、アランはずっとロアの手を握りしめていた…
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