運命の恋
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「アランさん、こちらに置いておきますよ」
「はい。ありがとうございます」
そう言うと、アランは一旦手をとめセルマの方に顔を向けて微笑んだ。
ここはロアの部屋。
あの日以来、アランはロアの部屋で作業をするようになった。
アランのために部屋にはミシンが置かれ、日が昇れば訪れ、月が顔を出すまでずっと作業をしている。
アラーナと…ロアのドレスを作るために…
セルマに先程届けてもらった生地を手に取りながら、アランはゆっくりと視線を動かす。
窓辺に腰掛けてじっとこちらを見ている人物…
アランの視線に、わずかに頬を赤らめながらとっさに窓の外へと目を向けたロアを見て、アランはふっと笑みをこぼすと再び視線を生地に移した。
宴までもう半年をきっている…さすがのアランも多少なりとも焦りを感じていた。