彼岸花の咲く頃に
だというのに。

「フン」

姫羅木さんは慌てず騒がず、その場から半歩も動く事なく狐火をかざした。

その炎が、彼女の手元で分裂する。

一つが二つ、二つが四つ、四つが八つ、八つが十六…!

あっという間に姫羅木さんの周囲を取り囲むほどに増殖した狐火は、一斉に悪狐の尾へと殺到する!

激突する炎と炎。

次々と起こる小爆発。

狐火が全て消え去る頃には、悪狐の尾が纏っていた炎は、完全に鎮火してしまっていた。

「お主のチャチな火遊びなぞ、この程度で十分対処できるわ」

< 103 / 120 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop