彼岸花の咲く頃に
狐火の行列の長さは一里(約4キロメートル或いは約500~600メートル)にも渡り、その数も次第に増えたかと思えば突然消え、また数が増えたりもするという。

姫羅木さんのような格の高い化け狐ならば、それだけの数の狐火を、たった一人で自由自在に操る事ができるのだろう。

特筆すべきは、天下の大妖怪である九尾の狐を相手に、まるであしらうような戦いぶりを見せつけているという事だ。

これが、冬城を守るお稲荷様の力。

姫羅木さんの本気の実力…!

「さぁ、悪狐。おとなしゅうせい。二度と悪さをせぬと誓うならば、ここらで仕置きは堪えてやる」

余裕たっぷりの態度で悪狐をたしなめる姫羅木さん。

彼女には傷は勿論、衣服に焦げ跡すらついてはいなかった。

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