彼岸花の咲く頃に
「終いじゃ」

姫羅木さんの右手に、再び狐火が発生した。

複雑な、ともすれば虹を連想させるような色彩の炎。

その火球を悪狐目掛けて放つ!

咄嗟に両手を交差させて防御に転じる悪狐。

彼女とて九尾の狐だ。

為す術もなく身を焼かれるなどという事はない。

一度はその妖気で身を包み、狐火に抗する。

「んぅうぅぅ…ぐぐぐ…っ!」

狐火と悪狐の押し合い。

悪狐はどうにかして狐火を押し返そうとする。

だが、あの狐火は姫羅木さんの神通力のこもった炎。

如何に天下の大妖怪といえども、その力に抗しきれる筈もない。

「これまでの悪行、篤と反省せい」

姫羅木さんが右手を掌握した瞬間!

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