彼岸花の咲く頃に
珍しいついでに、姫羅木さんが一体どこの人なのか気になる。
「あの…」
本来、客の事を根掘り葉掘り問い質すのは店員としては感心できないんだろうけど、こんな田舎の小さなスーパーだ。
決まり事も緩かった。
「姫羅木さん…じゃったですよね?どこから来ちゃったんですか?」
「……」
もぐもぐと稲荷寿司を咀嚼しながら、姫羅木さんは空いた手である方向を指差す。
「奥からですか?由岐町(ゆきちょう)とか?」
「いんや」
やっと飲み下し、指先をぺろりと舐めながら、姫羅木さんは言った。
「そこまで奥には行かん。この近くの山の中じゃ」
「あの…」
本来、客の事を根掘り葉掘り問い質すのは店員としては感心できないんだろうけど、こんな田舎の小さなスーパーだ。
決まり事も緩かった。
「姫羅木さん…じゃったですよね?どこから来ちゃったんですか?」
「……」
もぐもぐと稲荷寿司を咀嚼しながら、姫羅木さんは空いた手である方向を指差す。
「奥からですか?由岐町(ゆきちょう)とか?」
「いんや」
やっと飲み下し、指先をぺろりと舐めながら、姫羅木さんは言った。
「そこまで奥には行かん。この近くの山の中じゃ」