彼岸花の咲く頃に
ほんの少し湧いた俺の疑念など知る由もなく、姫羅木さんは今日も満足げに笑みを浮かべる。

「今日も美味かったぞ。また明日も頼むぞ」

上機嫌に尻尾を振り、彼女は背を向けて歩き始める。

…………。

え…尻尾?

目を擦り、何度も姫羅木さんのキュートなヒップを確認する。

いやいや。

浮世離れした姫羅木さんだからって、それは幾ら何でも…。

目が赤くなるほど擦ったが、その幻覚は消えてくれる事はなかった。

「ひ、姫羅木さん…その尻尾…?」


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