彼岸花の咲く頃に
稲荷寿司を食べに来る女
『今、そこで…そう、店内でパックの稲荷寿司食っとる人、おるじゃろ?
どっちかゆーと、こんなスーパーの稲荷寿司より、都会のオシャレなオープンカフェやらでランチしとる方が似合うあの女性。
名前は姫羅木曜子さんっていうんじゃけどね。
誰にもゆーたらいけんで?
あの人、実は…化け狐なんよ…』
広島弁丸出しで、そんなカミングアウトを何度もシミュレーションしたものの、それを実行する気にはとてもなれなかった。
だって、狐霊って。
化け狐って。
言った所で誰が信じる?
尻尾や獣耳を見た所で、近頃流行の『こすぷれ』ゆーのをした都会の若い娘さんが、田舎の方まで遊びに来とってじゃね…この町の人間には、その程度にしか思わないかもしれない。
刺激のない町で数十年暮らしてきた人間の緩さ、見くびってはいけない。
どっちかゆーと、こんなスーパーの稲荷寿司より、都会のオシャレなオープンカフェやらでランチしとる方が似合うあの女性。
名前は姫羅木曜子さんっていうんじゃけどね。
誰にもゆーたらいけんで?
あの人、実は…化け狐なんよ…』
広島弁丸出しで、そんなカミングアウトを何度もシミュレーションしたものの、それを実行する気にはとてもなれなかった。
だって、狐霊って。
化け狐って。
言った所で誰が信じる?
尻尾や獣耳を見た所で、近頃流行の『こすぷれ』ゆーのをした都会の若い娘さんが、田舎の方まで遊びに来とってじゃね…この町の人間には、その程度にしか思わないかもしれない。
刺激のない町で数十年暮らしてきた人間の緩さ、見くびってはいけない。