彼岸花の咲く頃に
スーパーは今日も開店休業状態だ。

この町の人間は、どこも田畑を持っていて、自分の家である程度の米や野菜は自給自足できる。

足りないものを少し買う程度。

このスーパーも、都会のように毎日客で溢れかえるという事はない。

姫羅木さんが毎日入り浸った所で、何ら営業に支障はなかった。

が、彼女もお客とはいえ、稲荷寿司を食べたら早々にお引き取り願いたい。

ましてや悪賢い狐だというのならば、実害が出る前に追い払う必要がある。

意を決して。

「あの、姫羅木さん」

俺は彼女のそばに歩み寄った。

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