彼岸花の咲く頃に
姫羅木さんはというと、雑誌のコーナーで女性誌を眺めていた。

狐も芸能ニュースに興味があるのだろうか。

「ん?どうした千春」

姫羅木さんの獣耳が、片方だけピコッと立つ。

店内に俺しかいない時は、彼女は狐丸出しである。

本人は化け狐の証が衆目に晒された所で何ら問題はないというのだけれど、俺が他の客がいる時だけは…と頼み込んだのだ。

『化け狐も絶賛する稲荷寿司のあるスーパー』

そういう方向での繁盛の仕方は、個人的には遠慮願いたかった。

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