彼岸花の咲く頃に
「ちょっと訊いてみるんじゃけど…」

恐る恐る、俺は姫羅木さんに訊ねる。

「姫羅木さんって、どうして毎日このスーパーに通ってきてんですかね…?」

「……」

キョトンとした顔をする姫羅木さん。

「稲荷寿司が美味かったと言うたであろ?」

うん、この返答は予想できた。

「でも姫羅木さん、稲荷寿司食べた後も、すぐに帰らんでしょ?最近は店に入り浸るじゃないですか。何か、他に用事があってんかなぁ…とか思うたりしとるんですけども…」

言葉は慎重に選ぶ。

可愛い顔して化け狐だ。

山までさらわれたりしたら敵わない。


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